「よつ葉堂」思考の憩いの場として

「100歳まで健康寿命」会社員をしながら健康に関する『カラダ』『ココロ』の幸福感UPする思考法を広めていきたいです♪

落語っていうとすぐ笑点いうでしょ、あれはおおぎり。

落語ってむつかしいんだよ。そこが面白い。


とあるお店の若旦那が一ヶ月ほど前から具合が悪く休んでいる。
医者に診せたところこれは気の病だから願いことを叶えてやれば
たちどころに治るだろうと言われた。
熊が聞き出したところによると若旦那は恋煩いだった。
一月前に上野の清水堂に行った時、茶屋で出会った良家の美しい
お嬢さんに一目惚れしたという。
そのお嬢さんは別れ際「瀬をはやみ岩にせかかる滝川の」という百人一首
崇徳院の歌の上の句を書いて若旦那によこしていた。
この下の句は「割れても末に逢はむとぞ思ふ」というもので
つまり今ココでお別れしても又お目にかかれますようにという意味が
込められており、まんざらでもないという証。

ところがこのお嬢さんがどこにいるのか手がかりがない。
これを聞いた熊がさっそく旦那に報告すると、その相手を日本中しらみつぶしに
探してくれと言い出した。探し出したら借金棒引きと貸してる三軒長屋をあげるという。

しかし雲をつかむような話、熊は気が進まぬが仕方なく引き受ける。
話を聞いた女房は大喜び。湯屋や床屋など人が集まりそうな処へいって
崇徳院の歌を大声で怒鳴ってみろという。

翌日、熊は朝から込んでいる湯屋と床屋を何十軒と渡り歩いたが
成果はなし。
夕方フラフラになって入った床屋で一服していたら
一人の鳶頭が飛び込んできた。出入りの店のお嬢さんが
上野の清水堂で出会った若旦那風のいい男に一目惚れしてしまい
恋煩いで死にそうだという。そこで出入りのみんなで日本中を探す事に
なったという。

熊は夢中で立ち上がり鳶頭の胸ぐらをつかまえて
「三軒長屋、三軒長屋」
驚く鳶頭に
「てめえに遇おうがために艱難辛苦いかばかり、瀬をはやみ岩にせかかる
滝川の」
これを聞いた鳶頭が
「おや、その歌をなんでしっているんだ?てめえんとこの
若旦那が?おれもおめえをはなさねえぞ。おれんとこのお店へこい」
「なにいってんでぃ、てめいこそうちの店へ」
とお互いもみあっているうちに、鏡の前にあった花瓶も鏡も割れてしまった。
床屋の主人
「鏡をこわしちまって、どうしてくれるんだ?」
「いやぁ親方、心配しなくてもいいよ」
「割れても末に買わんとぞ思う」